岡山県の事業者様へ。
産業廃棄物収集運搬業許可の取得、後回しにしていませんか?
建設業、解体業、製造業など、事業活動に伴い「産業廃棄物」を排出事業者から請け負って運搬するには、「産業廃棄物収集運搬業許可(産廃許可)」が法的に必須です。
「うちは元請けから言われた現場間の移動だけだから」「少量だから大丈夫だろう」
そういった認識で無許可運搬を続けることは、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(または併科)という極めて重い罰則の対象となるだけでなく、発覚した瞬間に取引先からの信用を失い、事業継続そのものが困難になる重大なコンプライアンス違反です。
特に岡山県は、「岡山県知事」の許可に加え、「岡山市長」「倉敷市長」が個別に許可権限を持つ全国的にも複雑な管轄区域です。
自社の事業内容(どこで積み、どこへ運ぶか)を正確に把握し、正しい窓口に申請しなければ、申請そのものが不許可となり、数ヶ月の時間と申請手数料(81,000円)を無駄にするリスクがあります。
この記事は、産業廃棄物収集運搬業許可の専門家である行政書士が、岡山県の事業者様が「なぜ許可が必要なのか」という根本的な理由から、岡山県特有の複雑な申請ルール、そして許可取得の具体的な要件まで、事業の生命線となる許可制度の基礎知識を徹底的に解説するものです。
📅 産業廃棄物収集運搬業許可(産廃許可)とは?岡山県で事業を行う上での絶対的必要性
産業廃棄物収集運搬業許可(以下、産廃許可)は、文字通り「他人の産業廃棄物を、委託を受けて収集し、処分場や積替え保管施設まで運搬する」ために必要な許可です。これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)という法律で厳格に定められています。
このセクションでは、許可制度の根幹となる定義、無許可営業のリスク、そしてなぜ岡山県の事業者がこの許可を最優先で取得すべきなのか、その重要性について深く掘り下げます。
許可の根幹「産業廃棄物」の定義と20品目
まず大前提として、「産業廃棄物」とは何かを正確に理解する必要があります。廃棄物処理法では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大別しています。
- 一般廃棄物: 事業活動以外(=主に家庭)から出るごみ。
- 産業廃棄物: 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律で定められた特定の20種類のもの。
この「20種類」に該当するものを、排出事業者(例:元請の建設会社、工場など)から委託され、お金をもらって(有償で)運搬する瞬間に、産廃許可が必要となります。
【法律で定められた産業廃棄物20品目】
あらゆる事業活動に伴うもの(12種類)
- 燃え殻
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
- 廃プラスチック類
- ゴムくず
- 金属くず
- ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
特定の事業活動に伴うもの(7種類)
13. 紙くず(建設業、紙製造業、出版業など特定の業種から出るもの)
14. 木くず(建設業、木材製造業、パルプ製造業などから出るもの)
15. 繊維くず(建設業、繊維工業などから出るもの)
16. 動植物性残さ(食料品製造業、医薬品製造業などから出るもの)
17. 動物系固形不要物(と畜場などから出るもの)
18. 動物のふん尿(畜産農業から出るもの)
19. 動物の死体(畜産農業から出るもの)
その他
20. 上記19種類を処分するために処理したもので、上記に該当しないもの(例:コンクリート固化物など)
さらに、これらのうち爆発性、毒性、感染性などを有するものは「特別管理産業廃棄物」として区別され、より厳格な許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業許可)が別途必要となります。
岡山県内で建設業や解体業を営む事業者様であれば、現場で発生する「がれき類」「木くず」「廃プラスチック類」「金属くず」などは、ほぼ間違いなく産業廃棄物に該当します。これらを自社のトラックで中間処分場へ運搬する行為は、まさに「収集運搬業」そのものです。
収集運搬業の2つの形態「積替え保管あり/なし」
産廃許可の申請には、大きく分けて2つの区分があります。
- 積替え保管なし(直行型)
排出事業者(現場)で産業廃棄物を積み込み、そのまま中間処分場や最終処分場へ直行する形態です。
途中で自社の車庫や倉庫に一時的に降ろしたり、他の廃棄物と混ぜたりすることは一切できません。
多くの事業者がまず取得するのはこちらの許可です。 - 積替え保管あり
排出事業者から収集した廃棄物を、一時的に自社で定めた保管場所(積替え保管施設)に降ろし、そこで一定量を溜めたり、他の廃棄物と混合・選別したりしてから、まとめて処分場へ運搬する形態です。
「積替え保管あり」の許可は、廃棄物を一時的に保管するための「施設」に対する許可の側面が強くなります。そのため、保管場所の設置に関して都市計画法や建築基準法、消防法などの他法令のクリア、周辺住民への説明と同意、そして何より岡山県(または岡山市・倉敷市)の担当課との極めて詳細な事前協議が必要となります。施設の設置には莫大なコストと時間がかかるため、許可取得のハードルは「積替え保管なし」とは比較にならないほど高くなります。
まずは自社の事業が「積替え保管なし」で成り立つのか、それともどうしても「積替え保管あり」でなければならないのかを明確にすることが、申請準備の第一歩となります。当事務所にご相談いただくお客様の9割以上は「積替え保管なし」の許可申請からスタートされています。
無許可営業の重大リスクと罰則(廃棄物処理法 第25条)
なぜ私たちがこれほどまでに許可取得を強く推奨するのか。
それは、無許可営業のリスクがあまりにも大きいからです。
廃棄物処理法では、無許可で産業廃棄物の収集運搬業を行った者に対し、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこの併科」という、非常に重い罰則を定めています(法第25条第1項第1号)。
これは「知らなかった」では済まされません。
例えば、以下のようなケースはすべて無許可営業に該当します。
- ケース1: 建設業者が、元請けから解体工事一式を請け負い、自社で排出した廃棄物(自社排)を運ぶ。
- → これは許可不要です。(自社運搬)
- ケース2: 建設業者が、元請けA社から「A社が別の現場で排出した廃棄物」の運搬だけを依頼され、A社の現場から処分場まで運んだ。
- → これは無許可営業(違法)です。
- ケース3: 塗装業者が、工事で使った塗料の空き缶(廃油、金属くず)を現場から持ち帰る。
- → 許可不要です。(自社運搬)
- ケース4: 塗装業者が、元請けから「うちが使った空き缶もついでに処分場へ運んでおいて」と頼まれ、運賃をもらって運んだ。
- → これは無許可営業(違法)です。
少しの「ついで」や「元請けとの付き合い」のつもりで安易に引き受けた無許可運搬が発覚すれば、罰金刑はもちろん、その事実が公になれば金融機関からの融資停止、公共工事の指名停止、主要取引先からの契約解除など、事業の存続に関わる致命的なダメージを受けます。
なぜ岡山県の事業者に許可が「不可欠」なのか
罰則が厳しいから、という理由だけではありません。
岡山県で事業を拡大し、継続していくために、産廃許可は「不可欠な経営ツール」です。
- コンプライアンス(法令遵守)の証明
産廃許可証は、自社が廃棄物処理法という環境法令を遵守しているクリーンな企業であることの「公的な証明書」です。 - 元請け・取引先からの信用獲得
近年、コンプライアンス意識の高まりから、元請け企業は下請け企業に対し、産廃許可証の提示を求めることが常識となっています。
許可がなければ、そもそも取引の土俵に上がることすらできません。 - 公共工事・入札参加の前提条件
岡山県や県内市町村が発注する公共工事の入札において、産廃許可を保有していることが参加条件(あるいは加点要素)となるケースは非常に多いです。
許可がなければ、大きなビジネスチャンスを失うことになります。 - 事業範囲の拡大
許可を取得することで、「廃棄物運搬」を正式な事業メニューとして受注できるようになります。
これまで断らざるを得なかった元請けからの依頼にも応えられるようになり、売上と事業の安定化に直結します。
まとめると、産廃許可は「持っていれば有利」な資格ではなく、岡山県で建設業や製造業などに関わる事業者が、法令違反のリスクを回避し、事業を安定・発展させるために最低限必要な「事業のインフラ」なのです。
🌎 【岡山県特有】許可申請の最難関「管轄」を徹底解剖(県・岡山市・倉敷市)
産廃許可の申請先を間違うと、申請は受理すらされません。この「どこに申請するか」という管轄のルールこそ、岡山県での申請における最大の難関であり、専門家である行政書士の腕の見せ所です。
全国の多くの都道府県では、申請先は「〇〇県知事」のみというシンプルな体系です。しかし、岡山県は「政令指定都市」である岡山市と、「中核市」である倉敷市が、県から独立した許可権限を持っているため、非常に複雑な構造になっています。このセクションでは、この岡山県特有のルールを、具体例を交えて徹底的に解説します。
産廃許可の基本原則「区域ごと」の許可
廃棄物処理法における産廃許可の基本的な考え方は、「業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(または政令市長・中核市長)ごとに許可が必要」というものです。
ここでいう「業を行おうとする区域」とは、具体的に以下の2つの場所を指します。
- 産業廃棄物を積み込む場所(積込地)
- 産業廃棄物を降ろす場所(荷降地)
例えば、兵庫県姫路市で廃棄物を積み込み、岡山県備前市の中間処分場へ運搬する場合、必要な許可は以下の2つです。
- 積込地:兵庫県姫路市 → 姫路市長の許可
- 荷降地:岡山県備前市 → 岡山県知事の許可
このように、県境をまたぐ場合は、関係するすべての自治体(この場合は姫路市と岡山県)の許可が必要になるのが大原則です。
岡山県の3つの許可権限者(県・岡山市・倉敷市)
この大原則を踏まえた上で、岡山県内の事情を見ていきます。
岡山県内には、産廃許可(収集運搬業)を出す権限を持つ自治体が3つ存在します。
- 岡山県知事
岡山市・倉敷市を除く、岡山県全域を管轄します。
(例:津山市、玉野市、総社市、笠岡市、真庭市など) - 岡山市長
岡山市の区域内のみを管轄します。 - 倉敷市長
倉敷市の区域内のみを管轄します。
この3つの関係性が非常に厄介です。
「岡山市と倉敷市で運ぶから、岡山市長と倉敷市長の2つの許可が必要」ではない、という点が最大のポイントです。
ルールは以下のようになります。
【岡山県の産廃許可 管轄ルール】
- パターンA:岡山市「内」のみ で積込み・荷降ろしが完結する場合→ 岡山市長の許可 が必要
- パターンB:倉敷市「内」のみ で積込み・荷降ろしが完結する場合→ 倉敷市長の許可 が必要
- パターンC:上記A・B以外 の場合(=岡山市や倉敷市を含む、県内の複数の市町村にまたがって運搬する場合)→ 岡山県知事の許可 が必要
つまり、岡山市や倉敷市が少しでも関与する広域的な運搬(例:岡山市→津山市、倉敷市→総社市、岡山市→倉敷市)は、すべて「岡山県知事」の許可の対象となります。岡山市長許可や倉敷市長許可は、あくまでその市内で事業が完結する場合の、非常に限定的な許可なのです。
このルールを知らずに、「岡山市の現場だから」と岡山市役所に申請に行き、「あなたの場合は倉敷市にも運ぶ計画があるから、県の窓口(備前県民局)に行ってください」と門前払いされるケースあります。
ケーススタディで学ぶ「あなたの申請先」
この複雑なルールを、具体的なケーススタディで確認しましょう。あなたの事業がどれに該当するか、ぜひ当てはめてみてください。
- ケース1: 岡山市北区の建設現場で「がれき類」を積み、岡山市南区の中間処分場へ運搬する。
- 判断: 積込地(岡山市)、荷降地(岡山市)ともに岡山市内で完結しています。
- 必要な許可: 岡山市長の許可
- ケース2: 倉敷市水島地区の工場で「廃油」を積み、倉敷市玉島地区の処分場へ運搬する。
- 判断: 積込地(倉敷市)、荷降地(倉敷市)ともに倉敷市内で完結しています。
- 必要な許可: 倉敷市長の許可
- ケース3: 岡山市北区の現場で「木くず」を積み、津山市の処分場へ運搬する。
- 判断: 岡山市と津山市の、複数の市町村にまたがる運搬です。
- 必要な許可: 岡山県知事の許可 (※岡山市長の許可は不要)
- ケース4: 倉敷市の現場で「廃プラスチック類」を積み、総社市の処分場へ運搬する。
- 判断: 倉敷市と総社市の、複数の市町村にまたがる運搬です。
- 必要な許可: 岡山県知事の許可 (※倉敷市長の許可は不要)
- ケース5: 岡山市東区の現場で「がれき類」を積み、倉敷市の中間処分場へ運搬する。
- 判断: 岡山市と倉敷市の、複数の市(政令市・中核市)にまたがる運搬です。
- 必要な許可: 岡山県知事の許可 (※岡山市長・倉敷市長の許可は不要)
- ケース6: 玉野市の現場で積み、笠岡市の処分場へ運ぶ。
- 判断: 岡山市・倉敷市以外の市町村間での運搬です。
- 必要な許可: 岡山県知事の許可
- ケース7: 岡山市北区の現場で「がれき類」を積み、兵庫県姫路市の処分場へ運搬する。
- 判断: 県境をまたぐ運搬です。
- 積込地(岡山県岡山市)の許可: ケース3, 5と同様に、岡山市を発着点とする広域運搬のため、岡山市長の許可 が必要です。
- 荷降地(兵庫県姫路市)の許可: 姫路市長の許可 が必要です。
いかがでしょうか。特にケース5やケース7は、専門家のサポートなしで正確に判断するのが非常に難しいポイントです。自社の取引先(排出事業者)や、利用する可能性のある処分場(運搬先)の所在地をすべてリストアップし、どのパターンの許可が必要なのかを正確に見極めることが、申請の成否を分けます。
申請窓口と岡山県独自のローカルルール
必要な許可が分かったら、次は申請窓口です。これも岡山県は複雑です。
【岡山県の産廃許可 申請窓口一覧】
- 岡山県知事許可 の場合:申請者の主たる事務所(本社)の所在地を管轄する県民局に申請します。
- 備前県民局 地域政策部 環境課
- (所在地:岡山市北区弓之町6-1)
- (管轄:岡山市、玉野市、備前市、瀬戸内市、赤磐市、和気町、吉備中央町に本社がある事業者)
- 備中県民局 地域政策部 環境課
- (所在地:倉敷市羽島1083)
- (管轄:倉敷市、笠岡市、井原市、総社市、高梁市、新見市、浅口市、早島町、里庄町、矢掛町に本社がある事業者)
- 美作県民局 地域政策部 環境課
- (所在地:津山市山下53)
- (管轄:津山市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、西粟倉村、久米南町、美咲町に本社がある事業者)
- 岡山市長許可 の場合:
- 岡山市 環境局 環境部 産業廃棄物対策課
- (所在地:岡山市北区大供一丁目2番3号)
- 倉敷市長許可 の場合:
- 倉敷市 環境リサイクル局 産業廃棄物対策課
- (所在地:倉敷市西中新田640)
例えば、「岡山市北区に本社」があり、「岡山市と津山市」で運搬する場合、必要な許可は「岡山県知事許可」です。そして申請窓口は、本社の所在地を管轄する「備前県民局」となります。
ここでさらに注意すべきは、各窓口(県民局、岡山市、倉敷市)によって、申請書の様式が微妙に異なること、そして「事前相談」の運用が異なることです。特に岡山県(県民局)への申請では、本申請の前に「事前相談」として担当者と計画のすり合わせを行うことが強く推奨されています。
これらの複雑な管轄ルール、窓口の違い、ローカルルールをすべて把握し、最短距離で許可を取得するには、岡山県全域の申請実務に精通した専門家の知見が不可欠です。
📋 許可取得を阻む「5大要件」と岡山県(岡山市・倉敷市)における詳細な審査基準
申請先が正しくても、誰でも許可がもらえるわけではありません。産廃許可には、法律で定められた厳格な「5つの要件」があり、申請者はこれをすべて満たしていることを、膨大な公的書類によって証明しなければなりません。
ここでは、その5大要件と、特に岡山県の審査で厳しく見られるポイントについて、専門家の視点で解説します。
要件1:知識と技能(講習会の受講)
まず、申請者(法人の場合は代表者や、廃棄物処理法上の「政令使用人」)が、専門的な知識と技能を有することを証明する必要があります。
証明方法:
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物収集・運搬課程(新規)」の講習会を受講し、修了試験に合格すること。
この講習会は、誰でもいつでも受けられるものではありません。
岡山県での開催(対面講習)は年に数回しかなく、すぐに満席になります。
オンライン講習も導入されていますが、申込から修了証が手元に届くまで1ヶ月以上かかることもあります。
【岡山会場の開催例(令和7年度)】
- 収集運搬(新規)対面講習: 令和7年9月25日~26日
- 収集運搬(新規)オンライン試験: 令和8年2月6日
- 収集運搬(更新)対面講習: 令和8年2月5日
(※日程は必ず最新のJWセンターのHPでご確認ください)
この修了証は申請時に必須であり、有効期限は5年間です。許可取得の計画を立てる際、「まず最初に講習会を予約・受講する」ことが時間的ロスのないスタートとなります。
要件2:経理的基礎(財務内容)
申請者(会社または個人事業主)に、事業を的確に、かつ、継続して行うに足りる「経理的基礎(財産的要件)」があることが求められます。これは申請における最大のハードルの一つです。
審査のポイント:
- 債務超過でないこと:直近の決算書(貸借対照表)において、負債の総額が資産の総額を上回っていないことが原則です。
- 利益が計上されていること:直近3年間の損益計算書において、利益(経常利益または当期純利益)が計上されており、納税が適切に行われていることが求められます。
申請時には、直近3期分の確定申告書(写し)、貸借対照表、損益計算書、法人税の納税証明書(その1:納税額等証明用)などを提出し、財務の健全性を証明します。
【もし債務超過だったら?】
万が一、直近の決算で債務超過に陥っている場合、即不許可となるわけではありませんが、追加の対応が求められます。岡山県や岡山市・倉敷市では、この場合のリカバリー策として、以下のような追加資料の提出を求めています。
- 経営改善計画書
今後どのように収支を改善し、債務超過を解消していくのかを具体的に示す計画書。 - 専門家による経営診断書
中小企業診断士や公認会計士など、第三者の専門家が「この計画書は妥当であり、将来的に改善の見込みがある」と診断した意見書。 - 金融機関からの融資証明書(残高証明書)
当面の事業継続に必要な運転資金が確保されていることの証明。
これらの書類作成には高度な専門知識が必要です。決算書の内容に少しでも不安がある場合は、申請書を提出する前に、必ず当事務所のような専門家にご相談ください。財務状況を分析し、最適なリカバリープランを一緒に策定します。
要件3:適法な事業の施設(車両・駐車場)
「積替え保管なし」の許可の場合、求められる「施設」とは、主に以下の2点です。
- 運搬車両:
- 廃棄物の収集運搬に適した車両(ダンプ、トラック、コンテナ車など)を確保していること。
- 車両が飛散・流出・悪臭防止の措置(例:ダンプのコボレーンシート、密閉型コンテナ)を講じていること。
- 車検証(自動車検査証)の写しを提出し、申請者がその車両の所有権または使用権限(リース契約書など)を有することを証明する必要があります。
- 駐車場(車庫):
- 運搬車両を適法に保管できる駐車場を確保していること。
- 土地の登記簿謄本や賃貸借契約書を提出し、その土地の使用権限を証明する必要があります。
「自社の敷地だから大丈夫」と思っていても、登記簿上の地目が「畑」や「田」のまま(農地)になっていると、農地転用の手続きをしない限り駐車場として認められず、申請がストップします。細かな点ですが、こうした他法令の確認も必要です。
要件4:欠格要件(人的要件)
産廃許可は「人」に対しても与えられるものです。そのため、申請者やその役員などが「廃棄物処理の事業を適正に行うことができない者」に該当しないことが厳格に審査されます。これを「欠格要件」といいます。
審査対象となる人物:
- 申請者本人(個人の場合)
- 法人の代表者、全取締役、全監査役
- 相談役、顧問
- 5%以上の株式を保有する株主
- 政令で定める使用人(支店長、営業所長など)
これらの人物が、以下のいずれか1つにでも該当する場合、許可は100%不許可となります。
【主な欠格要件(廃棄物処理法 第14条第5項第2号)】
- 成年被後見人、被保佐人
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- (※これはどんな罪(例:交通人身事故)でも対象となります)
- 以下の法律に違反し、罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 廃棄物処理法、浄化槽法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの環境法令
- 刑法(傷害罪、暴行罪、脅迫罪、背任罪など)
- 暴力行為等処罰に関する法律
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
- 過去に産廃許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
審査は非常に厳格で、申請時には上記対象者全員の「住民票(本籍地記載)」と「登記されていないことの証明書」の提出が必須です。行政はこれらの書類に基づき、警察本部など関係各所へ照会(前科・前歴の調査)を行います。
「昔のことだから大丈夫だろう」という自己判断は通用しません。少しでも不安がある場合は、公開情報(判決謄本など)をもとに、専門家が「5年」の起算点を正確に確認する必要があります。
要件5:事業計画の妥当性
最後に、申請者が作成する「事業計画書」が妥当であることが求められます。
これは、「管轄」と密接に関連します。
- 何を運ぶのか(廃棄物の種類:がれき類、木くず など)
- どこから運ぶのか(排出事業者の所在地)
- どこへ運ぶのか(運搬先となる中間処分場・最終処分場の所在地)
これらを明確にし、その計画に見合った車両や体制が整っていることを説明します。
例えば、「がれき類」を運ぶ計画なのに、運搬車両が軽トラック1台では「不適当」と判断される可能性があります。
また、運搬先として記載する処分場とは、事前に委託契約を締結する(または締結の目処が立っている)必要があります。その処分場が、運ぼうとする廃棄物(例:がれき類)の処分許可を適法に受けているかどうかも、当然ながら審査の対象となります。
これら5つの要件は、すべて「許可申請書」とその膨大な添付書類によって、客観的に証明されなければなりません。
🏃 申請から許可取得後まで:岡山県の事業者が専門家(行政書士)に依頼すべき理由
ここまでの解説で、岡山県で産廃許可を取得することが、いかに専門的な知識と時間、そして労力を要するかをご理解いただけたかと思います。
最後のセクションでは、許可取得までの具体的な流れと、許可取得後に発生する義務、そしてなぜこれらの複雑な手続きを専門家である行政書士に任せるべきなのか、その決定的な理由を解説します。
許可取得までのロードマップ(事前相談から許可証交付まで)
産廃許可の申請は、思い立ってすぐに完了するものではありません。特に講習会の受講や公的書類の収集には時間がかかります。
【標準的な申請プロセス】
- ステップ1:専門家(行政書士)への相談・要件診断
- まず、「5大要件」をクリアできるか、専門家がヒアリングと資料(決算書、車検証、役員名簿など)の確認を行います。
- この段階で、岡山県特有の「管轄」を特定し、申請先(県民局 or 岡山市 or 倉敷市)を確定させます。
- ステップ2:講習会(新規)の申込・受講
- 許可取得のキーマン(代表者など)の講習会を直ちに予約します。修了証が届くまで約1ヶ月かかります。
- ステップ3:公的証明書の収集と申請書類の作成
- 講習会の受講と並行して、行政書士が委任状に基づき、以下の膨大な証明書を代理取得します。
- 法人の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 役員・株主全員の住民票(本籍地記載)
- 役員・株主全員の登記されていないことの証明書
- 納税証明書(法人税、県民税、市民税など)
- 車検証、リース契約書、駐車場の登記簿謄本・賃貸借契約書 など
- 収集した資料に基づき、行政書士が数十ページに及ぶ申請書、事業計画書、財務諸表などを作成します。
- ステップ4:行政窓口との「事前協議」
- 作成した書類一式(案)を持って、岡山県(備前・備中・美作県民局)、岡山市、倉敷市の各担当窓口に行き、「この内容で申請して問題ないか」を事前に確認・協議します。
- この事前協議こそが、本申請での差し戻し(補正)を防ぐための最も重要なプロセスです。
- ステップ5:申請書の提出と手数料納付
- 事前協議でOKが出たら、申請書に押印し、窓口に正式に提出します。
- 申請手数料 81,000円(岡山県のPOSレジ)を納付します。
- ステップ6:行政による審査
- 申請が受理されてから、行政内部での審査(欠格要件の照会など)が行われます。
- 標準処理期間は、約90日(土日祝除く)とされています。
- ステップ7:許可証の交付
- 審査が無事に完了すると、行政から許可通知が届き、窓口で「許可証」が交付されます。
ご自身でこれらすべてを行う場合、平日の昼間に何度も法務局、市役所、県民局へ足を運び、慣れない書類作成と担当者との協議に膨大な時間を費やすことになります。その結果、書類に不備があり、申請が数ヶ月遅れれば、その間のビジネスチャンスをすべて失うことになります。
許可取得後も続く義務(更新・変更届・マニフェスト)
産廃許可は、取得したら終わりではありません。事業を適正に継続するための義務が課せられます。
- 義務1:5年ごとの「更新」
- 産廃許可の有効期間は5年間です。事業を継続するには、期限が切れる約3ヶ月前から「更新許可申請」を行う必要があります。
- 更新時にも、講習会の修了証(今度は「更新」講習)と、直近の財務諸表の提出が求められます。5年間の間に債務超過に陥っていると、更新が認められないリスクがあります。
- 義務2:車両や役員の「変更届」
- 申請内容に変更が生じた場合(例:新しいトラックを追加した、役員が交代した、本社を移転した)、その都度「変更届」を提出する義務があります。これを怠ると、更新申請が受理されません。
- 義務3:車両への表示義務
- 許可を受けた運搬車両には、「産業廃棄物収集運搬車」である旨、会社名、許可番号(下6桁)を、車体の両側面に鮮明に表示しなければなりません。
- 義務4:マニフェスト(管理票)の運用義務
- 廃棄物を運搬する際は、必ず排出事業者から交付される「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を携帯し、運搬が完了したら排出事業者へ写しを返送する義務があります。
- 義務5:帳簿の作成・保存義務
- 廃棄物の種類、運搬年月日、排出事業者名、運搬先などを記録した「帳簿」を作成し、5年間保存する義務があります。
これらの許可取得後のコンプライアンス対応も、当事務所のような専門家が顧問としてサポートすることで、事業者は本業に集中することができます。
なぜ行政書士が不可欠か?時間と信用の獲得
岡山県の事業者様が産廃許可申請を専門の行政書士に依頼すべき理由は、単に「面倒な手続きを丸投げできる」からではありません。
- 「時間」という最も貴重な経営資源の獲得:社長や担当者様が、慣れない法律を調べ、役所を何往復もしている間の「人件費」と「機会損失」は、行政書士に支払う報酬を遥かに上回ります。専門家は、岡山県特有の管轄ルールと5大要件を熟知しているため、無駄な動きなく最短ルートで許可取得を実現します。
- 「不許可」という最大のリスクの回避:最も恐ろしいのは、時間と費用(申請手数料81,000円)をかけた末に、「要件を満たしていない」として不許可になることです。特に財務要件や欠格要件は、一度不許可になるとリカバリーが困難です。私たちは、申請前の段階で徹底的にリスクを診断し、対策を講じます。
- 岡山県(岡山市・倉敷市)の「ローカルルール」への対応力
法律の条文は一つでも、それを運用する岡山県・岡山市・倉敷市の窓口には、それぞれ独自の「申請マニュアル」や「担当者の裁量」といったローカルルールが存在します。私たちは日々の申請業務を通じてこれらの「生きた情報」を蓄積しており、スムーズな事前協議と審査を可能にします。
産廃許可は、あなたの事業を守り、発展させるための「投資」です。その投資を、不確実な「賭け」にしてはいけません。
岡山県の産廃許可は、スマート行政書士事務所へ
当事務所は、岡山県(県知事許可)、岡山市長許可、倉敷市長許可のすべてに対応した、産業廃棄物収集運搬業許可申請を専門とする行政書士事務所です。
建設業、解体業、製造業、運送業など、これまで岡山県内の多くの事業者様の許可取得をサポートしてまいりました。
「うちは許可が必要かどうかわからない」
「決算書が赤字(債務超過)だけど大丈夫だろうか」
「元請けから至急許可を取るよう言われて困っている」
「岡山市と倉敷市をまたぐが、どこに申請すればいいか分からない」
このようなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ一度、当事務所の「産廃許可 初回無料相談」をご利用ください。
専門家である行政書士が、貴社の状況を直接ヒアリングし、許可取得の可能性と、最短で許可を取得するための具体的なステップを明確にアドバイスいたします。
無許可というリスクを抱え続けることは、会社の未来を危険にさらすことです。
その重荷を今すぐ降ろし、法令を遵守したクリーンな企業として、岡山県での事業を堂々と展開するために、私たちが全力でサポートいたします。
